売買される個人情報の価値

読者は、自分の個人情報について、どれくらい気を使っているだろうか。その昔、メールと名前、性別がセットで1件当たり○○円で売買しているなんて記事が、ネットに流れたこともあった。現在は、そういったセット販売の価格が暴落し、単純に1件でいくらという価格出はなくなりつつあると聞く。今回は、そういった個人情報が、ブラックマーケットでどれくらいの価格になるのかについて、書いてみよう。

まず、売買される個人情報について考えてみよう。売買される個人情報には、いくつかのランクがあり、まず、単なるメールアドレスだけの場合。これはほとんど無価値と呼ばれており、数十万レコード有ったとしても、その価値は高くても数千円止まり。下手をすると、数百円ってこともある。これは、そのメールアドレスが本当に現在も使われているか(流通しているか)が確定していないためだ。もし、これが、すべて使われている場合は、10倍程度の価値がつく。ただし、本当にすべてのメールアドレスが使われていれば・・・の話だ。また、それがフリーのメールアドレスなのか、それとも、企業が使っているメールアドレスかによっても、価値が変わる。もし、企業が使っているメールアドレスの場合、おいそれと変更するわけにいかず、使い続ける可能性が高い。逆に、フリーメールの場合は、簡単に変えられるため、使い続ける可能性が低く、大量に迷惑メールを受信した場合は、そのメールアドレスを捨てる可能性が十分に有る。そのため、企業とフリーのメールアドレスでは、その価値が大きく異なる。ただし、メールアドレスだけでは、先ほども書いた通り、あまり価値はなく、それ以外にヒモ付けされたものがあれば、その価値はぐっと上がる。

先ほど、企業のメールアドレスの場合は、価値がフリーアドレスに比べ、高いと書いたが、これは変更されな事と、もうひとつ理由がある。それは、その企業に属していることがほぼ確定しているためだ。.co.jp の場合、その企業に属しているもしくは、何らかの関係者であるため、個人を特定しやすい。たとえば、katayama@appirits.com といった場合、「アピリッツに勤めている片山」さんとわかるわけだ。このように、個人を特定する事ができる情報はきわめて価値が高い。これに、クレジットカード情報と性別、電話番号が含まれていれば、1件あたり10円前後の価値があるかもしれない。1件10円と聞くと、あまり価値がないように感じられるかもしれないが、数万件集めれば、ちょっとした小遣い稼ぎになる。

先ほども述べたように、個人を特定する情報は価値が高いが、逆に個人を特定できない情報はあまり価値がないと書いた。最近では、買い取り時には金銭が発生しないケースが有る。このケースでは、どんな状態(情報)で有っても、個人情報を渡す際には一切の金銭授受が発生しない。では、どのように行うかというと、アフィリエイト型と呼ばれる方法だ。この方法では、先ほどのように、1件いくらといった相場は存在しない。たとえば、Aさんの情報を含んだものを、アピリッツ商事に私が渡したとする。この時点では、金銭授受が発生しない。Aさんがアピリッツ商事で100万円の買い物をするとする、買い物額の25%である、25万円が私の懐に入る。Aさんが、アピリッツ商事で買い物をし続ける限り、延々と私の手元には、購入金額に応じ数%〜20%前後が振り込まれる。個人情報を渡した時点で金銭授受が発生しない分、売り逃げはできないが、システム上いくらの売り上げが有ったのかを確認することができ、そして、いくらの振り込みが有るのかを確認することができるため、個人情報の売り手にとって非常においしい仕組みになっている。仮に、渡した個人情報が10万件有ったとして、そのうち1%、つまり、1千人が、毎月1万円の買い物をした場合、何もしなくても、毎月25万円の小遣いだ。

とはいえ、10万件ものメールアドレスや個人情報を集めるのは、相当骨の折れる作業だ。しかも、目の前に有るような個人情報をわしづかみにして、売り払うと、某証券会社のような状態になりかねない。しかも、売却額よりも損害賠償額の方が、はるかに大きい状況では、割に合わない。そこで、個人情報を集めてる人に聞いた、さまざまな方法を書いて見よう。